ブリタニカ国際年鑑

ブリタニカ国際年鑑

2014年版 シリーズ一覧へ

 

『ブリタニカ国際年鑑』は、『ブリタニカ国際大百科事典』を最新の情報に保つため1975年に創刊され、以来、毎年4月に刊行されています。約60%が英語の年鑑 Britannica Book of the Year からの翻訳、約40%が日本版独自の書き下ろし記事です。

世界の1年間の出来事を、政治経済から科学、芸術、スポーツまで幅広く、解説記事、人物記事、特集記事と、世界の国を網羅した詳細な統計資料に集約。本格的な「読む国際年鑑」として、読み物としても資料としても、多くの読者に支持されています。

「失われた20年」と呼ばれた時代に、ようやく終わりの兆しが見えました。政権を取り返した安倍首相が掲げるアベノミクスのもと、国内の株価は上昇し、長かった景気の低迷に出口が見えたかのようでした。日本を象徴する富士山がついに世界遺産に選ばれ、東京がオリンピック開催都市に決まるなど、海外からも評価をかち得ました。その一方で首相の靖国神社参拝や安全保障を強化する動きに、保守化を懸念する声もあがりました。国際情勢ではアラブの春が行きづまり混乱が拡大するなか、アメリカがシリア内戦の解決をはかって力不足を露呈、盗聴問題で同盟国との信頼関係もゆるがし、発言力を弱めていくように見えた年でした。

特別寄稿

各国元首をはじめ、権威ある内外の人物による論文やインタビュー記事で、巨視的視点から世界と時代を展望しています。

「科学技術と人間」 ~東日本大震災からの問い~

中村桂子(JT生命誌研究館館長)

三年前に日本を襲った大震災と津波、そして原子力発電所事故。あの惨事は私たちの生き方を変えただろうか。歴史的な災害を教訓にして、人間は自然界の一員としてどう生き直したらよいのだろうか。

特別リポート

その年に内外で広く話題になった事象・出来事についての分析や解説記事です。
執筆者は各分野やテーマの第一人者で、原因や背景にまで踏み込んだ専門的な内容になっています。

グローバル化時代の企業活動と税制

増井良啓(東京大学教授)

多国籍企業の相次ぐ租税回避行動。税源と公平さを確保するため、G20による課税ルールの再構築が始まった。

ナショナリズムの新局面

萱野稔人(津田塾大学教授)

排外主義的ナショナリズムが高揚する背景にあるのは、日本社会の「リソースの枯渇」「パイの縮小」への危機感である。

スポーツ指導における暴力行為の根絶へ

森川貞夫(市民スポーツ&文化研究所代表)

戦前戦中の教育に根をもち長年にわたり存在してきた暴力・体罰問題を日本スポーツ界はいかにして克服するのか。

東京オリンピック2020年に再び

松瀬学(スポーツジャーナリスト)

56年ぶり2度目となる五輪開催を目指して狭き門に挑んだ東京は過去の失敗に学んで周到な「オールジャパン体制」で勝利した。

同性婚の法制化

アンドリュー・コッペルマン(ノースウエスタン大学教授)

ますます高まる同性婚容認の世論。男女間の結合のみを結婚と定義する旧来の法律はこうした動向への対応を迫られている。

ビットコイン

アダム・B.レバイン(レッツトークビットコイン・ドットコム編集長)

巧妙に設計されたデジタル通貨ビットコイン。使い勝手の良さが人気を集め、投機的な思わくも加わって世界を席捲し始めた。

クラウドファンディング

ジョン・M.カニンガム(エンサイクロペディア・ブリタニカ・リーダーズエディター)

インターネットで寄付を呼びかけベンチャー事業を実現する。これまでになかった新しい資金調達法がビジネスに力を与える。

MOOC─急成長するオンライン講座

バージュニア・ゴーリンスキー(ピアゾン・エンバネット教育デザイナー)

大規模公開オンライン講座MOOCの出現は、何百年にもわたり続いてきた高等教育のパラダイムを覆す可能性を秘めている。

リチャード3世の遺骨分析

エリザベス・A.マレー(マウント・セント・ジョーゼフ大学教授)

悪名高い王、リチャード3世の遺骨は、人類学、病理学、法医学、遺伝学が動員されて分析され、多くの事実が明らかになった。

姿を消すチョウ

フィリップ・トレース(ライス大学・昆虫学者)

2013年、アメリカで2種類のチョウの絶滅が報告された。環境破壊や気候変動で、世界っ口の多くのチョウが絶滅に瀕している。

小惑星と彗星の監視と探査

エリック・グレガーセン(エンサイクロペディア・ブリタニカ編集委員)

2013年は、隕石の衝突など地球外物質の危険性が認識された。一方NASAと民間企業は、それら小天体の利用計画を立ち上げた。

先進安全自動車の目指す未来

野崎博路(工学院大学教授)

日進月歩で性能を向上させてきた自動車はいま、将来を見すえて、運転する喜びと究極の安全性の両立を目指している。

ビッグデータが明らかにするもの

リサ・ホールトン(ビジネス・ジャーナリスト)

大規模なデータ収集と分析から浮かび上がる世界の動向。ビジネスや安全保障の強力な手段は、個人情報保護の問題もはらむ。

3D印刷の衝撃

ジュリー・フリードマン・スティール(3Dプリンタ・エクスペリエンスCEO)

2013年、3D印刷技術の進展と普及は、多用な分野のものづくりの根幹を変える産業革命の到来を告げるものとして注目された。

アラブの春の行きづまり

ジェームズ・Lゲルバン(カルフォルニア大学ロサンゼルス校教授)

2010年末からアラブ世界に広がった民主主導の政治的動乱は、明るい期待を裏切って域内各国で暴力や抑圧に姿を変えている。

デトロイト市の財政破綻

フェルモン・D.ソーンダーズ(都市計画コンサルタント)

アメリカ地方地自体史上空前の規模となったデトロイト市の財政破綻。かつての繁栄と転落の軌跡を追い、再生の萌芽を探る。

南極氷底湖の探査競争

ジョン・P.ラファティ(エンサイクロペディア・ブリタニカ編集委員)

南極の氷底湖は、地上とは隔絶された極限環境であり、各国の生命科学者は」、そこに生息する生命体に大きな関心を寄せている。

富士山 信仰の山

町田洋(東京都立大学名誉教授)宮脇昭(横浜国立大学教授)黒田長久(山階鳥類研究所)大藤時彦(星城大学名誉教授)

2013年、信仰と芸術の対象として高い評価を受け、世界遺産に登録された富士山。その霊峰の自然と文化を多角的に詳述する。

写真特集

  • 東京オリンピック1964
  • 新種生物
  • 富士山 信仰の対象と芸術の原点
  • ホーリー~ヒンドゥー教 色彩の祭典~

スポットライト

  • イプシロンと宇宙ビジネス
  • 海女漁の歴史、現状、展望
  • 女性兵士の戦闘参加
  • 解除動物の普及と法的課題
  • 将棋ソフトの躍進
  • J・オースティンの名作から200年
  • セイバーメトリクス
  • アメリカの歳出強制削減の余波
  • アベニミクス
  • 待機児童ゼロ
  • ヨーロッパ中央銀行

年表

国際年表

2013年に起こったおもな出来事を暦日で記述。

事故・災害

2013年に大きな被害をもたらした事故と災害をジャンル別に掲載。

百科事典項目

一般項目

政治、経済、産業、文化、芸術、化学、生活、スポーツなど…各分野の最新動向をあますところなく記録。

世界の国と地域

およそ200の世界の国と地域の現勢と動向を統計資料を添えて記述。

人物記事

人間の記録

2013年に各界で活躍した人物をクローズアップ。

ノーベル賞受賞者

平和、文学、経済学、化学、物理学、生理学・医学…全6部門各受賞者の横顔と業績を紹介。

物故録

2013年に没した世界の著名人120人の業績を回顧。

統計

日本の統計

入手可能な最新の国内基幹統計データを豊富に掲載。

国際比較統計表

世界の現勢を最新の統計データから読む、ブリタニカ独自のユニークな資料集。

仕様

  • 言語:日本語
  • 270mm × 216mm
  • 650ページ
  • 上製本仕上げ