日本も全国で真夏日となっていますが、ヨーロッパでは記録的な猛暑となっています。気象庁によると、2019年7月ヨーロッパ北西部から中央部にかけて、南から入った暖気の影響をうけて異常高温が発生し、7月25日にはヨーロッパ各地で最高気温の更新が相次ぎました。以下はその一部です。
ドイツ | 北西部のリンゲンで、42.6℃の日最高気温を観測。 ドイツの国内最高記録を更新 |
オランダ | 南部のギルゼ・レイエンで、40.7℃の日最高気温を観測。 オランダの国内最高記録を更新 |
ベルギー | 北部のベガイネンデイクで、41.8℃の日最高気温を観測。 ベルギーの国内最高記録を更新 |
イギリス | 南東部のケンブリッジで、38.7℃の日最高気温を観測。 イギリスの国内最高記録を更新 |
ルクセンブルク | 中部のスタンセルで、40.8℃の日最高気温を観測。 ルクセンブルクの国内最高記録を更新 |
どの国も、人の体温をこえる猛烈な暑さですね。ヨーロッパでは6月にも熱波が到来しており、2019年6月が観測史上最も暑い月となった国が多くありました
しかし、ヨーロッパの家庭にはエアコンがほとんどありません。エアコンの普及率は、なんと5%以下といわれています。ヨーロッパの夏は湿度が低く、日本のようにじめじめしていないので過ごしやすいこと、室外機が設置できないような古い建物が多く残ること、エアコンは健康的ではないと考える人が多いこと、などエアコンが普及していない理由はいろいろあるようです。とはいえ、今年のような記録的な猛暑ではエアコンなしで過ごすのは厳しく、暑さによる死者も出ています。2003年の猛暑では、フランスで1万人以上が熱中症で死亡したこともあり、各国では暑さに対する注意と対策を呼びかけています。
2018年は世界中が異常高温だった
ヨーロッパは、2018年も猛暑に見舞われ、異常高温を記録していました。2018年の異常気象をまとめた下の図をみると、世界的に異常高温が発生していたことがわかります。2018年は日本も群馬県の熊谷で41.1℃を記録し、全国927観測点のうち202地点で日最高気温の記録を更新、本当に暑い夏でした。そう考えると、毎年のように異常高温が起こっているような気がしませんか。
異常気象は今後、増えるのか
アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、観測開始以降、地球の表面温度の高さベスト5は、2016年、2017年、2015年、2018年、2014年となっており、近年、世界的な高温が続いていることがわかります。地球温暖化の影響で、年々地球全体の平均気温が上昇しているのは間違いありません。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告によると、地球温暖化の影響によって、今後、「ほとんどの陸域で暑い日や暑い 夜の頻度の増加や昇温 がほぼ確実」とされています。また「大雨の頻度、強度、大雨の降水量の増加は中緯度の大陸のほとんどで可能性が非常に高い」とされています。科学的な検証から、これから異常気象は確実に増えていくと考えられているのです。
異常気象についてもっと知りたい方は、東京大学大気海洋研究所の木本昌秀教授が2018年の異常気象をレポートした「2018年の『極端気象』」(ブリタニカ国際年鑑2019年版掲載)をぜひご覧ください。地球温暖化の仕組み、原因、将来予測などについてまとめたブリタニカ・オンライン・ジャパンの大項目「地球温暖化(global warming)」もおすすめです。
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