2019年は3月21日が春分(vernal equinox)の日でした。春分の日は、太陽が真東から昇り、真西に沈みます。昼と夜の長さがほぼ同じ日です。必ず「ほぼ」といわれますが、どうしてでしょう。
春分の日は、上の図のように、太陽が天球を半分に割るように進むので、昼と夜が同じ長さになります。でも実は、少しだけ昼の長さの方が長いのです。国立天文台の暦計算室によると、2019年3月21日、東京の日の出は午前5時44分、日の入りは午後5時53分でした。昼が9分だけ長いですね。
「春分の日」の昼が長い理由は二つ
理由はおもに二つあります。ブリタニカ・オンライン・ジャパンの「日の出」の項目を見てみましょう。
地上で見て,太陽の上縁が東の地平線に接すること。大気差のため太陽の位置は角度で約 35′,実際より上に見えるため,東京(北緯 35°41′)では実際より約 4~5分早い。(→日の入り)
【理由1】太陽一つ分の距離、昼の方が長いから
一つ目は、日の出が「太陽の中央が地平線をこえたとき」ではなく、「太陽の上縁が地平線に接したとき」をさすためです。太陽が少しでも地平線を出れば空は明るくなるので、当然、昼となります。日の入りも同じです。そのため、太陽一つ分の距離を移動する時間、昼が長くなるわけです。
【理由2】空気のせいで太陽が実際の位置よりも高く見えるから
二つ目は、大気差で太陽が実際の位置よりも高く見えるためです。大気差とは「直接観測される天体の位置は地球大気の屈折によって真の位置よりもわずかに高度が高くなる」ことを言います。水の中に入れたものがゆがんでみえるのと同じように、間に空気が存在すると天体は少し上に見えるのですね。そのため、太陽の本当の位置よりも日の出は少し早く、日の入りは少し遅くなります。
この二つの原因で、ちょっとだけ昼間が長くなるのです。昼の長さに空気が関係しているなんて面白いですね。これは秋分の日も同じです。2019年の秋分の日は9月23日、2020年の春分の日は3月20日になります。天気が良ければ、太陽の動きに注目してみてはいかがでしょうか。
「春分」について、もっと調べてみたい方は……
春分は「二十四節気」という暦の一つです。暦の成り立ちや意味についてまとめて読める大項目「暦」もおすすめです。また春分の日は、春の彼岸の中日でもありますね。大項目「仏教行事」を調べてみるのも面白いですよ。
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