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探究学習のテーマは誰がどう決める?設定する際のポイントや、探し方をご紹介

  • ブリタニカ・ジャパン

 

探究学習とは、自分自身で課題を見つけて解決策を探ることにより、生徒の主体性を養う学習法です。従来の教育とは異なり、明確な答えのない学習法になるため、テーマ作りに苦労している先生は多いのではないでしょうか。

探究学習のテーマの決め方はさまざまですが、生徒が興味を持ち、主体性を持って取り組める内容でなければいけません。本記事では、誰が探究学習のテーマを決めるべきなのか、どんなテーマが適しているのか、どうすれば最適なテーマが見つかるのかといったポイントを徹底解説します。

探究学習とは

探究学習とは、特定のテーマから生徒自身が課題を見つけ出し、自らの力で解決策を発見する生徒主体の学習法です。小学校や中学校でもすでに取り入れられており、2022年から実施予定の新しい学習指導要領として明確に触れられたことから注目を集めています。

本記事では探究学習の肝となる「テーマの決め方」に焦点を当てて解説を行います。探究学習そのものに関する詳細は、関連記事の【探究学習とは?目的や教科学習と異なる先生の役割、課題について解説】をご参照ください。

探究学習の進め方・流れ

探究学習の基本的な進め方・流れは以下のとおりです。

<探究学習の流れ>

• 課題(テーマ設定)

• 情報の収集

• 整理・分析

• まとめ・表現

まずは特定のテーマを決定し、関連する情報を収集します。集めた情報を整理・分析したうえでまとめ、発表するのが基本的な流れです。このサイクルを何度も繰り返すことにより、生徒は多くの学びを得ることができます。

探究学習におけるテーマ設定の重要性

生徒は「自分事」として考えられる話題(課題)であれば、真剣に取り組むようになります。生徒にとって必要なテーマを与えることが探究学習の肝となるため、テーマ設定は極めて重要です。

文部科学省による「高等学校学習指導要領」にも、「必要に応じて、単元の総時数の3分の1程度を当てることも考えられる」という記述があります。その後の学習を実りあるものにするためにも、テーマ設定は最重要項目と考えましょう。

探究学習のテーマは誰が決める?

探究学習のテーマは先生が決めるか、生徒が決めるかの二者択一です。主体性を養うことが探究学習の目的であるため、可能な限り生徒がテーマを決められるようにすると良いでしょう。しかし導入期には先生がサポートしたほうがスムーズです。

ここからは、決め方の基本を3項目に分けて解説します。

先生が決める

生徒の主体性を養うことが探究学習の主な目的である以上、テーマは生徒自身で決めることが理想的です。しかし、現実的にはすべての生徒が自主的にテーマを決めることは難しく、特に導入期は生徒も混乱しがちなため、先生がテーマを決めても良いでしょう。

先生がテーマを決める場合、あらかじめ用意していた指導要領を生かし、先生が得意な分野・話題をテーマに設定できるところもメリットです。クラス全員に同一のテーマを与えられるため、評価するときの負担を減らせるところもメリットといえるでしょう。

先生が選択肢を与え、生徒が決める

先生がいくつかのテーマを提案し、その中から生徒が好きなテーマを決めるパターンです。指導のしやすさと生徒の楽しさの両方を追求できるところがメリットの折衷案で、多くの学校が取り入れている手法です。

生徒が決める

先生は基本的にタッチせず、生徒自身がテーマを決める手法です。生徒自身が強く興味を持っているテーマを使って学習できるため、生徒のモチベーションを高められます。一方で多種多様なテーマが出現することが予想され、教師の負担が増す可能性があります。

探究学習に適している3つのテーマ

探究学習のテーマ決めに悩んだときには、これから紹介する3つのテーマを元に課題を考えるのがおすすめです。いずれも生徒が学びやすく、自然に深い学習ができるテーマです。

「気軽な問い」から始まるテーマ

特に探究学習に慣れていない生徒には、入口が簡単な「気軽な問い」から始まるテーマが適しています。例えば、「海をきれいな色にするためにはどうすれば良いのか」「薬品を使わずに雑草を処理する方法はあるのか」など、身近にあるものをテーマにするとイメージしやすくなります。

「深掘りの可能性」があるテーマ

入口がシンプルで、あまりにも簡単に結論が出るテーマでは学習が進みません。深掘りできる可能性が高いテーマを選ぶことにより、学習の質を高められるので、生徒の学習意欲も向上させられます。

「解釈の多様性」があるテーマ

どのような答えが出たとしても成立するような、多様性を持ったテーマを設定することもおすすめです。一般論としてわかりやすい答えが出てしまうテーマの場合、結論や発表の内容が似通ってしまいます。さまざまな答えが出るテーマに設定することで、生徒の個性を際立たせる効果を期待できます。

探究学習のテーマ設定を行う際のポイント

探究学習のテーマ設定をするときには、上記の3項目を基本として、これから紹介する2つのポイントを取り入れることが大切です。以下のポイントを意識することにより、生徒の学習意欲が向上することに加えて、最後までブレることなく学習を進められます。

生徒自身が興味・関心を持てるテーマを設定する

生徒自身が興味・関心を持てなければ、主体的に学習しようという気持ちを持たせられません。自発的な取り組みをサポートするためには、生徒が「やらされている」と感じるようなテーマを避けましょう。生徒がどんなことに興味を持っているのか、常にアンテナを張って把握することが大切です。

内容が逸れないよう、テーマを絞り込む

興味・関心を引くために入口を大きくすることはおすすめできますが、一方で最終的なゴールとなるテーマは絞り込むことが大切です。テーマを広げ過ぎてしまうと内容が抽象的になり、結論を導き出すことが難しくなってしまうので注意しましょう。

探究学習におけるテーマの探し方

ここまでにご紹介してきたテーマの決め方は、探究学習における原則にすぎません。これだけでは具体的なテーマを見つけられないという方に向けて、探究学習におけるテーマの探し方を6つご紹介します。

この項目で解説するテーマは、文部科学省の資料を元にお伝えします。ここで紹介する一覧を参考に、ぜひ具体的な探究学習の内容をイメージしてみてくださいね。

体験活動を通して課題を発見する

体験活動には、教室の勉強だけでは得られない貴重な経験をするチャンスがたくさん眠っています。自然にかかわる体験活動やボランティア活動などを行うことで、日常生活に潜んでいる疑問に気付けるかもしれません。

例えば「川」ひとつを取っても、上流と下流では流れの速さが違いますし、住んでいる魚の種類も違います。このような当たり前に感じるような事象からも、「なぜ」「どうして」といった疑問が見つかり、学習に有効なテーマを見つけられます。

資料比較を通して課題を発見する

いくつかの資料を比較することで、さまざまな変化をテーマにすることが可能です。例えば東日本大震災のような歴史的な災害の発生前後の写真や人口などのデータを比較し、震災が地域にどのような影響を与えたのかを比較できます。

比較に使用する資料には、写真や動画、地図といったデータがそろったものを利用することをおすすめします。ICT教材ならオンラインを通じてあらゆるデータを採取できるため、正確かつ最新の情報を比較しながら課題を発見することも可能です。

統計資料の推移から課題を発見する

グラフなどを使い、統計資料の推移から課題を見つける方法も有効です。例えば50年前から現在までの地球温暖化の進行度合いを確認すると、次の50年後・100年後にどうなるかをシミュレーションできるので、事態の悪化を防ぐための方法を考えるきっかけになります。

対象への憧れから課題を発見する

職場体験などの機会を通じて、憧れている現場や事象と向き合うことでも有効な探究学習を生み出せます。好きな物事に深く触れることで好奇心を刺激し、課題意識を高められるため、体験学習を行う前には気付かなかったような課題も発見できるでしょう。

問題をランキング化して課題を設定する

自分自身でいくつかの課題を比較したり、協働学習によっていくつかの課題を出したうえで比較したりして、問題をランキング化することもできます。序列化によって問題を焦点化しやすくなるため、追求したい課題を炙り出しやすくなるでしょう。

KJ・ウェビングなどから課題を見出す

KJ法とは、ブレインストーミングなどで得た情報をカードにアウトプットして、たくさんの疑問や課題を導き出す方法です。メリットはカードを類型化できることで、どのようなジャンルの課題やテーマが多いのかを可視化しやすくなります。

また、「ウェビング」という手法も有効です。これは本命となるテーマを中心に置き、それに関連する言葉をリンクさせることで解決策を見つける学習法になります。全体的な問題から課題を見つけることも、ごく一部の課題を抽出することもできるので、議論しながら具体的な解決策を見出せる学習法といえます。

まとめ

探究学習で最も重要なポイントはテーマ決めです。テーマは生徒自らが決めることが理想ですが、現実的に考えると、それだけでは学習が進みません。先生がテーマ決めに参加し、生徒がモチベーションを高めやすいテーマを与えるように誘導しましょう。

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