生徒の自主性を養う調べ学習ですが、課題設定には先生側の提案やサポートも必要です。設定すると良いテーマは生徒の年代によっても異なりますが、具体的にはどのようなテーマ設定を行うと効果的な学習ができるのでしょうか。
本記事では、小学生・中学生・高校生という3つの年代に分けて、調べ学習におすすめのテーマを4つずつご提案します。前提となるテーマ設定のポイントと併せてチェックしていきましょう。
調べ学習とは、特定のテーマについて生徒自身がさまざまな資料を用いて研究し、その成果をまとめて発表する学習法です。
<調べ学習の流れ>
• 課題(テーマ)を設定する
• 情報を収集する
• 調べた情報を整理・分析する
• まとめて、発表する
上記のサイクルを繰り返すことにより、生徒の自主性を育み、学習意欲を向上させる効果を期待できます。調べ学習の基本や活用すると便利な資料については、関連記事【調べ学習とは?進め方・流れや情報収集におすすめの方法を解説】でご紹介しています。
調べ学習では、学習の入口となるテーマ設定が特に重要です。平成30年の「高等学校学習指導要領」にも、課題の設定について「必要に応じて、単元の総時数の3分の1程度を当てることも考えられる」との記述があります。生徒が興味を持ちやすく、学習に没頭できるようなテーマを設定しましょう。
調べ学習におけるテーマ設定では、これから紹介する2つのポイントを意識しましょう。生徒が興味・関心を持ちやすく、学習を進めやすい面白いテーマに設定することが重要です。
生徒が興味・関心を持っているテーマを選べば、学習に対する個々のモチベーションを上げられます。生徒が興味を持つ物事は年代によってさまざまです。
ここからは、小学生・中学生・高校生それぞれにおすすめできるテーマを4つずつピックアップするので、ぜひ参考にしてみてください。
テーマを広げ過ぎるとまとめ方が難しくなり、なかなか結論にたどり着けません。反対にテーマを絞り過ぎると生徒の独自性を引き出しにくくなります。多様性を感じられる学習にするためには、あらゆる結論が出る可能性を含むテーマ設定をする必要があります。
小学生向けのおすすめテーマとしては、ごく身近な所にあるマークや動物を選ぶと良いでしょう。具体的な案として、4つのテーマをご紹介します。
自治体のシンボルマークには、その土地の地名や土地に由来する動物・道具などのデザインが含まれています。自らが住む街のシンボルを知ることにより、歴史に関心を示す可能性も考えられるでしょう。
街中にはあらゆるマーク(ピクトグラム)があります。マークとその意味をまとめて調べることで、マークを頼りにすると便利に暮らせることに気付けるかもしれません。
自分が住んでいる地域を中心に、地名の由来について調べることも有効です。合併によって複数の地名を合わせて誕生した地名や、地形を由来にして生まれた地名など、あらゆるパターンを発見できます。
ペットとしてだけでなく、人のために働いてくれる動物を知ることで、思いやりや優しさを育める可能性があります。例えば身近な所にいる「犬」は、盲導犬としても警察犬としても活躍しています。
中学生向けの調べ学習は、小学生よりも踏み込んだテーマを設定しましょう。名所や経済を知ることで国内外への興味が広がり、偉人を知ることで夢や目標を見つけられます。具体的におすすめのテーマを4つご紹介しましょう。
過去のオリンピック開催国はどのような国で、どのような共通点があるのかを調べます。開催地となった都市の観光名所や、オリンピックで使われた予算の違いをまとめることもできます。
日本には世界遺産や候補地が多く、住んでいる地域から足を運びやすい身近な世界遺産を見つけられるでしょう。地理・歴史といった勉強に興味を持たせるきっかけとして、おすすめです。
紙幣やコインに描かれている人物や建物は、その国を象徴するものばかりです。日本の紙幣は2024年に一新される予定なので、旬のテーマでもあります。
日本人のノーベル賞受賞者が、どのような研究で評価されて受賞に至ったのかを調べることもおすすめです。我々の生活に深く関与している研究も多く、生徒がさまざまな学問に興味を持つきっかけになります。
高校生では、調べ学習から一歩踏み出した「課題研究」としてのテーマ設定をおすすめします。深い内容をテーマに設定することで、白熱した議論を呼び、思考力を高めるためにも役立つでしょう。
SDGs(持続可能な開発目標)は、世界的に注目されているテーマです。合計で17種類のテーマが明確化されているので課題を見つけやすく、自分自身や身近な集団で何ができるのかを考えられます。
法改正により、日本の裁判員裁判には18歳以上が参加することとなったため、高校生にとって裁判員裁判は興味深い話題です。日本と世界の裁判員制度を比較することで、法律や人の命についてより深く考えられるようになるでしょう。
日本と韓国は切っても切れない存在ですが、歴史的には大きな隔たりも存在します。双方の立場を考慮しながら関係性を学ぶことで、友好関係を築くための建設的な意見を持ちやすくなり、ヘイトクライムなど差別への関心も高まるでしょう。
日本でも猫や犬などの動物が殺処分されています。そもそもなぜ殺処分が必要なのかを知ることで、理想と現実のギャップがわかり、それを埋めるための方法を考えるきっかけになります。
調べ学習で重要なのは課題(テーマ)の設定です。生徒の年代に応じて、興味や関心を持つ物事をテーマにすることで、学習意欲の向上や思考力の向上といった成果が期待できます。
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