最近、小学生や中学生の宿題として、「調べ学習」によるレポートの提出を求められるケースが増加しています。ドリルのような問題が提示される勉強法とは異なるため、生徒はどのように調べ学習をすべきか悩むことが多く、先生もどのような資料を与えるべきか悩むことが多いのではないでしょうか。
本記事では、調べ学習の目的や進め方、情報収集におすすめの方法・資料の特徴を一挙に解説します。各資料のおすすめポイントや注意点にも注目しながらご参照ください。
調べ学習とは、生徒が課題について調査し結論をまとめる学習法です。小学校で2002年からスタートした「総合的な学習の時間」の、『探究的な学習』として位置付けられることが多いです。「総合的な学習の時間」は理科・数学の授業時間が減少したことを受け、2012年に学習時間数が微減し、2020年以降も従来と同様の学習時間数が維持されます。
調べ学習は、生徒が主体性を持って取り組む学習法として重要視されています。しかしその一方で、先生にとって負担の大きい学習法です。学習にかける時間を効果的なものとするためには、情報収集に用いるツールにもこだわる必要があります。
探究学習とは、生徒自身が設定した課題と向き合い、資料を用いた研究や協働を行いながら結論を導き出す学習法です。本質的に調べ学習と一致するポイントが多く、大きな差は見られません。調べ学習は、探究学習におけるプロセスのひとつと考えられます。
調べ学習では、生徒自身が興味を持ったテーマを用いた学習ができるため、学習意欲を向上させる効果を期待できます。これにより学力向上につながるほか、クラスメイトによる多様性のある研究や発表に触れる中で、生徒の豊かな心・健やかな体を育成することが可能です。
生徒の進路選択の幅を広げやすいことも調べ学習のメリットです。さまざまな物事に触れることにより、新しい夢や目標を見つけやすくなるほか、AO入試等においても調べ学習の内容が評価される可能性があります。
ここからは、調べ学習の基本的な進め方や流れを解説します。以下①~④のルーティンで学習を進め、これを繰り返すことが調べ学習(探究学習)の基本です。
最初に興味・関心があるテーマを明確に設定します。テーマの決定は調べ学習において特に重要です。詳しくは関連記事の【調べ学習は課題設定が重要!決める際のポイントやおすすめテーマをご紹介】をご参照ください。
調べたいテーマに合ったメディアを使って情報を収集します。ここで用いる資料は辞書からインターネットまでさまざまです。詳しくは【調べ学習(探究学習)の情報収集におすすめの方法・資料】で注意点を交えながらご紹介します。
さまざまなツールを使用することで確度の高い情報が手に入りますが、丸写しやコピペでは意味がありません。複数の情報を整理してまとめ、分析しながら、自分なりの結論を導き出すことが大切です。
結論をまとめて、発表することで調べ学習が完結します。序論・本論・結論の3構成で見出しを立ててまとめることが基本。図や写真を活用して、視覚的にわかりやすくするように心掛け、著作権には十分に注意しましょう。
調べ学習(探究学習)で重要なポイントとなるのが情報収集です。第一に、フェイクのない正しい情報を与えることが大切ですが、「調べたい情報」に合った資料を与えることも重要です。本項目では資料を6つのジャンルに分け、おすすめポイントと注意点をまとめました。
レポートを見やすくするためには、写真や図が必要です。情報と一緒に図や写真を取得できるところが辞書・百科事典・図鑑の特徴で、調べ学習には不可欠な存在といえます。ただし、画像には著作権がある場合が多く、取り扱いには注意しなければなりません。
現在と過去のデータを比較する場合は、統計資料集や白書を使うと便利です。例えば人口の増減や地球温暖化の現状などを、客観的なデータから判断できます。データ集を使用するときには、情報源を確かめて、正しいデータかどうかを確認することが大切です。
新しい情報や地域のニュースを取り入れたいときは新聞・雑誌を活用すると良いでしょう。情報源が明確で、専門性の高い情報を仕入れられるところも新聞・雑誌のメリットです。一方でICT教材と比べるとアナログであり、情報収集に時間がかかりがちなところは欠点といえるでしょう。
インターネットを使えば、あらゆるジャンルの情報をリアルタイムで入手できます。速報性が高いことに加えて欲しい情報がピンポイントで手に入るところがメリットです。ただし、悪意を持つ者が流す偽の情報も多く、資料として活用するときには真偽を正確に判断しなければなりません。
歴史的な資料を用いたい場合は、資料館や博物館を利用すると便利です。教科書などの資料から目に入る情報だけでなく、間近な場所で現物や本物に触れることが可能です。欠点は、施設不足などにより、地域格差が生まれやすいことでしょう。
ここまでにお伝えした資料には載っていない情報や、主観的な情報を得たい場合は、インタビューで情報を収集するという手段もあります。例えば戦争の体験談などは、教科書を読むよりも言葉の重みを感じられますが、こちらも情報の正確性については考慮する必要があります。
調べ学習とは、「総合的な学習」の時間の「探究的な学習」として位置付けられています。自分自身で課題を見つけ、資料を用いながら研究・発表する「探究学習」のプロセスのひとつです。データ収集を行うときには、正確性が高く、見やすくて使いやすい資料を使うことが重要です。
ブリタニカでは、250年という長い歴史に裏付けられた正確な情報だけで構成される、辞典・図鑑・統計情報などをICT教材として提供しています。300万点以上の写真やイラストは非営利の教育目的用に著作権処理を行っており、レポートにもそのままお使いいただけます。調べ学習の資料をお求めの際は、ぜひブリタニカをご活用ください。