項目のつながりを追いかけることで、生徒たちは知識のつながりに気づくようになったと思います。『ブリタニカ国際百科事典』という馴染みのあるものがオンラインで使用できるところが一番の魅力でした。
――オンライン教材導入以前には、教育現場においてどのような課題を感じておられましたか。
令和4年度からの新学習指導要領での「総合的な探究の時間」は、本校においては教科横断的な学びの場として捉えています。本校では早い段階から生徒主体での「総合的な探究の時間」の取り組みを検討し、令和2年度当初から、この探究活動を本校の一つの看板として力を入れて指導していきたいということになり、導入を開始しました。
しかし、その中で、具体的な指導や生徒の取り組みを考えていくうちに、「どう情報収集させるか」という課題にぶつかりました。
――「総合的な探究の時間」では、知識を得るための情報検索から、より高度な情報収集が必要になると思いますが、そこでのハードルの高さを感じられたということでしょうか。
そのとおりです。当初は、生徒が「探究活動」をどうしても安易な「調べ学習」と捉えてしまい、簡単にまとめさえすればいいという考えがあったのではないかと思いますね。
また、現場で見ていると、生徒たちは安易にインターネットに頼ってしまい、その情報の真偽についてあまり深く考えていないようでした。物心ついた時からインターネットが身近にあった世代ですから、情報へのアクセスは非常に速いのですが、反面、その情報の正確性をきちんと確かめる、その意味を自分なりに考えるといったことには大変不慣れです。
生活に必要な情報を調べるという日常的な活動と、学問に関連した調査とを混同していて、きちんとした情報ソースに関する認識が薄かったように感じます。
――そうした中で、今回、「ブリタニカ・オンライン中高生版」を選定するに至った決め手は何だったのでしょうか。
文部科学省の「GIGAスクール構想」によって、オンラインの教材が当たり前になってきました。1人1台タブレット端末を持ち、ICT教育を行っている学校も確実に増えていく中で、我々も、信頼できる情報ツールがあるならぜひ使いたいと考え、様々なオンライン教材を試していました。
そうした中で、「ブリタニカ・オンライン中高生版」は、何といっても、『ブリタニカ国際百科事典』という馴染みのあるものがオンラインで使用できるところが一番の魅力でした。もちろんコンテンツは豊富ですし、先ほど言った情報の真偽、信頼性という面では、群を抜いて高い教材だと思います。
――現在、主に探究学習で「ブリタニカ・オンライン中高生版」を利用していらっしゃいますが、探究以外の教科でも活用はされていますか。
地歴公民では用語集のような形で、また英語であれば、視聴できる動画を利用したリスニングや専門分野の英文解釈などに利用しています。理科の範囲では、図説が豊富に用意されていますので、補助的な資料として活用しています。
その他、例えば朝の読書の時間には、「ブリタニカ・ハイライト」で時事的な話題に触れ、社会で起こっている事象について自ら考える、そんなきっかけにできればと考えています。まだ試行錯誤の段階ですが、利用を重ねていく段階で、新たな活用方法も見つかればと思います。
――コンテンツ導入前と現在では、どのような点が変わりましたか。
生徒たちは、知識を深めるということを自分でできるようになったと思います。ただインターネットで検索するだけでは、そのワードに関する知識を得るだけで終わってしまいがちですが、「ブリタニカ・オンライン中高生版」では、ある一つの項目から、さらにその次、その次と調べていくことが簡単にできるようになっていますので、項目のつながりを追いかけることで、生徒たちは知識のつながりに気づくようになったのではないかと思います。
――導入した「ブリタニカ・オンライン中高生版」について、今後の活用をお聞かせください。
それぞれの教科での学びと、探究活動での双方向的な学びの実現を目指しています。膨大な資料、データの中から自らの探究テーマを深めるためのデータマイニングの機会を増やしたいと考えています。
現在、各テーマにおけるデータベースの活用など、統計的な活用にも着手しています。豊富で信頼性のあるデータベースをもとに思考を深め、自分なりの結論を導き出すことが探究的な学習においては求められていきますので、これからどんどん活用を進めていきたいと思いますね。
ブリタニカ・オンライン中高生版は、中学校、高校など教育機関で利用されているオンラインのデジタル教材です。