夏の予定はもう決まりましたか?旅行や帰省など、暑さに気を付けて夏を楽しみたいものです。さて今回は、日本人にはなじみの深いお盆について取り上げます。お盆の由来や意味について改めて考えてみましょう。
お盆は、日本の伝統的な行事であり、先祖の霊を迎え、供養するために行われる特別な期間です。正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、その歴史は古く、中国の仏教の教えにさかのぼります。日本に「盂蘭盆会」が伝わったのは、7世紀頃といわれています[1]。最初は宮中行事として行われており、『日本書紀』には、当時の天皇が供養を行った様子が記されています。
また、古代の日本では、お盆は旧暦の7月15日に執り行われていました。現在では新暦の8月13日から16日が一般的ですが、地域によって異なり、例えば沖縄県では、お盆は旧盆(旧暦7月13日~15日)として行われ、2023年は8月28日(月)~30日(水)です。
日本では昔から、お盆の期間中に先祖の霊を迎えるため、家を飾り、特別な食事や供物を用意します。また、墓参りや盆おどりといった行事も行われます。これらは、先祖の霊に感謝し、供養すると同時に、生者と死者との絆を深める機会でもあります。また、地域交流や文化の継承にも一役買っていると言えます。
一方でお盆の時期には、海や川へ行かない方がよいとされています。こちらも北海道から沖縄まで全て当てはまるわけではないですが、一般的にこの時期は、高波や台風が発生しやすくなり、毒のあるクラゲが増えてくる時期でもあります。川であれば水温が低くなる頃ですので、お盆以降は水難事故に注意するというのが通説となっています。
また、お盆の期間中は、釣りや虫捕りなどをしてはいけないと言われています。仏教では不殺生戒(生物の生命を絶つことを禁止する規範)の期間とされていて、生命を奪う行為はその趣旨に反するものだからです。その他にも諸説ありますので、気になる方は是非調べてみてください。
ここまで紹介してきたように、お盆は、日本の伝統や宗教観念と密接に結びついています。それは、生と死、現世と来世といったテーマに深い思索を与え、家族や地域の一体感を形成する重要な行事です。関わり方は人それぞれ、地域によっても風習は異なりますが、1つのことを考える際に、「今と昔」「地域による違い」「意味や由来」などいくつかの観点をもって掘り下げ、比較・分類したり、派生することがらと関連付けたりすることで、探究的な学びとなります。
たとえばブリタニカ・スクールエディションでは、「お盆」と検索すると、関連項目として、「エイサー」「岐阜県」(お盆のときなどに飾られる岐阜提灯の5品目を紹介)「大韓民国」(日本のお盆と同様の行事について紹介)「年中行事とくらし」「ホオズキ」(お盆のお供えに使われる植物)などの項目が示され、様々な角度から学びを深めることができます。
さらに「エイサー」には、「伝統芸能」へのリンクが含まれていますので、自身の興味・関心に応じて派生する内容について深めていく、といった使い方もできます。
学習者自ら条件を設定し、具体的な観点をもつことで、自身の課題意識や調べたいこと、方向性が明確になります。その上で一つひとつの事柄を掘り下げることで、それはすなわち個に応じた学びとなり、探究的に学びを深めていくことができるでしょう。
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