今回は、インターネット黎明期といえる1980年代に開発された、インターネットで接続先を探すための大事な仕組みである “DNS”についてご紹介します。
インターネットで、接続先をどうやって探しているの?
普段インターネットを使っていて、あまりにもあたりまえで疑問にすら感じないかもしれませんが、インターネットにおいて、スマートフォンやパソコンなど利用者側の端末(クライアント)は、どうやって接続先のコンピュータや利用するウェブサイトなどのサービスをみつけているのだと思いますか?
たとえば、電話の場合は、それぞれの固定電話や携帯電話に “03-1234-5678″のような電話番号がわりふられています。相手に電話をかけるときに番号を入力すれば、電話機同士がつながる仕組みです。当然、電話番号がわからなければ相手に電話をかけることができないので、そのために自分で電話番号を記録したり、電話帳を使ったりするのです。
同じように、インターネットでも「IPアドレス」という仕組みがあります。インターネットにつながるすべての機器には、異なるIPアドレスというものがわりふられます。現在使われているIPv4(Internet Protocol version 4)というプロトコルでは、32ビットのデータを8ビットごとに10進数で表記します。IPアドレスの表記は “192.168.0.10”というような方法で、最小 “0.0.0.0”から最大 “255.255.255.255”まで存在します。パソコンや携帯電話、ウェブサイトなどのサーバーにもそれぞれ異なるIPアドレスがわりふられていて、コンピュータ同士はこのIPアドレスを使って接続し、やりとりをしています。
ただ、この数字の羅列でしかないIPアドレスを、サービスごとに一つ一つすべて覚えておくのは至難のわざです。そこで考え出されたのが、ネットワークやコンピュータに「ドメイン名」と呼ばれる名前をつけるDNS(ドメイン名システム、domain name system)という仕組みです。
すべてはDNSのおかげ!
たとえば、ブリタニカ・ジャパンは “britannica.co.jp”というドメイン名を自社の管理するコンピュータに利用しています。そのため、このサーバーにわりふられているIPアドレスを具体的に知らなくても、”britannica.co.jp”というドメイン名から「ブリタニカ・ジャパンのウェブサイト」にたどり着くことができるのです。
DNSの仕組みの興味深い点は、どのコンピュータにどのIPアドレスがわりふられていて、どのドメイン名が使われているのかを一元管理する統一的な電話帳のような存在がない、ということです。企業や組織それぞれがドメイン名やIPアドレスを管理するDNSサーバー(あるいはネームサーバー)を設定し、それが世界中の別のDNSサーバーとやりとりをしながら、目的のコンピュータをみつけるという「分散型データベース」という仕組みになっているからです。1ヵ所で管理していないので、どこかのDNSサーバーが利用できなくなっても、インターネット全体が止まることはないように考えられているのです。
総務省の「平成30年版情報通信白書」によれば、「世界のIoTデバイス(固有のIPアドレスをもちインターネットに接続が可能な機器およびセンサーネットワークの末端として使われる端末等)」は、2019年時点で354億台程度と推計されています。これだけの数の機器がトラブルなく相互に通信ができ、人が利用したいインターネット上のサービスを世界中のどこからでもみつけることができるというのは驚異的なことです。
インターネットがこれだけ急速に普及し、世界中の人たちが使うようになったのは、IPアドレスとドメイン名を簡単につなぎ合わせるDNSという仕組みがあったから、といっても過言ではありません。
年表
1983年 | DNSの最初のバージョンが提案される |
1985年 | 世界初のドメイン名「symbolics.com」登録、使用開始 |
1991年 | 日本のドメイン(.jpドメイン)の管理業務を行なうJNIC (現在のJPNIC:日本ネットワークインフォメーションセンター)設立 |
IPアドレス 、プロトコル、domain name など、インターネット(Internet)についてもっと詳しく調べたい方は、ブリタニカ・オンライン・ジャパン(日本語)または、Britannica School(英語)をご覧ください。
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