新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きを見せ始め、今年のゴールデンウィークや夏休みに旅行に行く計画を立てている方も多いのではないでしょうか。
日本から海外へ旅行に行く方、海外から日本にやってくる旅行者(いわゆる「インバウンド」)、どちらもこの数か月で増えてきています。
では、実際にどれくらいの人が日本を訪れているのでしょうか。
JNTO(日本政府観光局)の統計によると、2022年11月は93万人ほどだったのが、12月には約137万人に達し、その後も、2023年1月に約150万人、2月に約147万人が海外から日本を訪れ[1]、3月には181万人に達しました[2]。
日本では2022年10月に個人旅行の受け入れや査証免除措置の再開などが実施されたため、日本を訪れる観光客は毎月100万人を超える水準になっています。
とはいえ、コロナ禍の直前である2019年2月に記録した「260万人」という数字(ひと月の訪日外国人の数)と比べると、その数は依然としてコロナ前の水準を下回っています(ちなみに、2003年以降、訪日外国人の数が最も多かった年は2019年で、その数はなんと3188万人でした)。
さて、ここでみなさんにクイズです。
2023年2月の時点で、どの国・地域からの観光客が最も多かったでしょうか?
正解は、「A 韓国」です[1]。
2023年2月のひと月で、なんと56万8,600人が韓国から日本に来ています。
2位は台湾で25万人弱、3位は香港で12万人弱、4位はアメリカでおよそ8万7,000人でした。中国(3万6,000人)がTOP3に入っていないというのは少し意外ですね。
インバウンドに関連して、オンライン百科事典「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」では「『インバウンド』は日本経済の救世主」というタイトルの記事を掲載しています。
この記事によると、「政府はインバウンド促進を成長戦略の柱の一つとしており、訪日客急増は消費活性化を通じて日本経済を下支えしている」とあり、政府が2003年から「ビジット・ジャパン(VJ)キャンペーン」を開始したいきさつを知ることができます。
また、同じ記事のなかで、「2003年に海外に出国した日本人は1330万人だったのに対し、訪日外国人は521万人」とあり、先に紹介した〈2019年の訪日外国人の数、3188万人〉という数字と比べると、この20年弱で訪日外国人の数は大幅に増えたことがわかります。
訪日外国人がこれほどまでに増えたのはなぜでしょうか。
記事では「大幅な円安、査証(ビザ)発給要件の緩和、中国などアジア各国の経済成長による中間所得層の拡大、日本と海外を結ぶ格安航空会社(LCC)の相次ぐ就航」などの要因を挙げています。
訪日外国人が増えることで日本経済が活性化する面はありますが、その一方でいくつかの課題も出てきています。
たとえば、「民泊」の広がりによる近隣住民とのトラブルなどが記事では言及されています(「民泊」に関連した項目として「民泊新法施行へ」があります)。
ニュースなどで目にすることが増えてきた「訪日外国人観光客」の話題について、インターネットで調べられるデータと、ブリタニカの百科事典を組み合わせると、
「(新型コロナウイルスが猛威をふるった)2020年の訪日外国人観光客の数はどれくらいだろう?」
「日本はこれからどのような観光政策を行うとよいのだろう?」
「日本を訪れる人が多い韓国や台湾、香港はどのような場所なのだろう?」
といったトピックについて、子どもたちどうしで議論したり、あるいは子ども自身で問いを立てて探究したりすることができるでしょう。
「インバウンド」に限らず、広く「旅行」という観点から調べ学習をしたり、探究学習に取り組んだりすることもできます。
たとえば、「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」の「旅行業」の項目には、「社会主義国では旅行者の監督を行う必要から,旧ソ連のイン・ツーリスト,ブルガリアのバルカン・ツーリストなど,単一の大規模な国営旅行公社が存在する」という興味深い記述があります。
このような「気になる記述」をきっかけに、子どもたちの興味・関心がおもむくままに調べて探究していくことで、個別最適な学びを進めることができます。
さらに、「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」には「新型コロナウイルス・パンデミック」というタイトルの記事があり、パンデミックが始まった2020年の世界のようすを詳しく伝えています。こうした記事も活用し、「パンデミックとインバウンド」「パンデミックと旅行」などのテーマで調べ学習や探究学習に取り組むこともできるでしょう。
インバウンド・旅行・新型コロナウイルスに関する情報を総合的に知るには、「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」はうってつけです。子どもたちの学びをサポートするオンライン百科事典を日々の学習にぜひご活用ください。
参考文献
[1] 日本政府観光局(JNTO). 2022年訪日外客数(総数)、2023年訪日外客数(総数). https://www.jnto.go.jp/statistics/data/since2003_visitor_arrivals.pdf (参照2023-04-19)
[2] 日本政府観光局(JNTO). 訪日外客数(2023年3月推計値). https://www.jnto.go.jp/news/press/20230419_monthly.html (参照2023-04-20)
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