「GIGAスクール構想」によりICT教育の導入が活性化されています。しかしICT教育のメリットや注意点をつかみきれず、どのように実践すべきかイメージできないという教育機関関係者の方々は多いでしょう。
この記事では、小学校におけるICT教育の普及率やICT教育のメリット・デメリットを詳しく解説します。そのうえで、具体的なICT教育の実践例を3つ取りあげました。ぜひ本記事を参考に、ICT教育の実践に向けた準備を進めてみてください。
ICT教育とは、パソコンやタブレット端末を活用した教育手法です。ICT教育では画像や動画、音声を使って指導できるため、児童の学習意欲を高められます。このような形で積極的な授業への参加を促す学習法のことを「アクティブ・ラーニング」と呼び、アクティブ・ラーニングは文部科学省によって推進されている最中です。
文部科学省が令和3年8月に発表した資料によると、全国の公立小学校のうち96.1%が「全学年」または「一部の学年」で端末の利活用が始まっています。公立校ではすでにICT教育の下地作りが完了しており、本格的な稼働を待っている状況です。
小学校におけるICT教育のメリットを5点ご紹介しましょう。
<小学校におけるICT教育のメリット>
・児童の学習意欲を高められ、「主体的な学び」を実現できる
・児童の理解状況や能力に合わせた学びを提供できる
・協働学習が円滑に進む
・児童の情報活用能力を育める
・先生の負担軽減や、ペーパーレス化につながる
順番に詳しく解説していきます。
ICT教育では、画像や動画、音声を使った学習が可能になり、児童の興味や学習意欲を高められます。昨今の教育現場では挙手をする児童が減っており、受動的な教育を強いられている点が課題です。ICT教育によりこの状況を転換し、どんな児童でも発言や意見しやすい主体的な学びを実現できます。
たとえば調べ学習では、授業の流れに沿って描かれたイラストや画像から楽しく学ぶことが可能です。難しい言葉が出てきたときには、児童向けに編集された百科事典から即座に意味を理解できます。こういったICT教材を活用することは、学習の効率化にもつながるでしょう。
文部科学省は「資質・能力を確実に習得させるためには、個々の児童の状態をより丁寧に把握し、個別的な対応を行うことが重要」としています。いわゆる「個別最適化学習」ですが、これを実現させるためにもICT教育が役立つことは確実です。学習ログから児童の理解状況を把握できるため、児童の能力に合わせた学びを提供できます。
ICT教育では、答えが1つでないテーマに関する議論を白熱させられます。授業にそのまま使える精度の資料群が話し合いを活性化させ、論拠のある討論を可能にするのです。児童自らが考えて意見を出し合う、主体的な学びを伴った協働学習が円滑に進むでしょう。
コンピュータはあらゆる場所で活用されており、身近な場所にあるからこそ、コンピュータによってもたらされる情報を適切に選択・活用する必要があります。教育現場にICTを導入することで、児童の情報活用能力を育むことが可能です。また、小学校で必修化されたプログラミング教育との相乗効果にも期待できるでしょう。
従来は紙を使った授業や資料のやり取りを中心としていましたが、ICT教育導入後には必要な情報をデータでやり取りできます。情報収集にかかる時間を短縮できるため、先生の負担を軽減させられるほか、ペーパーレス化につながることもメリットです。
小学校におけるICT教育には以下のような注意点があります。
<小学校におけるICT教育の注意点>
・導入・運用のための予算を確保する
・ICT教育のセキュリティや、不具合時の対応を考える
・児童の健康に留意してICT機器を活用する
それぞれの項目を詳しく解説していきましょう。
ICT機器や教材を導入・運用するためには予算が必要です。ただし、文部科学省による「GIGAスクール構想」の誕生によって補助金を受け取れるため、これを活用しましょう。小学校・中学校、特別支援学校においては、端末導入にかかる費用を1人あたり4.5万円まで支給しています。
ICT教育では、生徒や教員、あるいは保護者に関連する個人情報を取り扱う場合があります。外部からの攻撃に備え、セキュリティ対策を万全に整えることが重要です。また、機器やWi-Fi環境に不具合が生じた場合の対応策も検討しましょう。
パソコンやタブレットといったICT機器を長時間利用することによる、児童の健康への悪影響に留意が必要です。特に視力の低下は懸念すべきポイントであり、ブルーライト対策等にも力を入れるべきでしょう。
小学校におけるICT教育の実践例として、以下の3例をご紹介します。
<小学校におけるICT教育の実践例>
・「一斉学習」の実践例
・「個別学習」の実践例
・「協働学習」の実践例
ブリタニカによるICT教材も、すでに多くの教育現場で活用されています。それぞれの学習でどのような効果をもたらすのか見ていきましょう。
一斉学習では、イラストや写真等の拡大や縮小、画面への書き込みといった形でわかりやすい授業を提供できます。紙を使った従来の教育と比較して、児童に興味や関心をもたせやすくなり、理解度を深めることも容易になるのです。
個別学習では、児童自身が抱えた疑問について深く調べることや、自分に合った学習を選択することが容易になります。先生は、個別学習の内容や進度をログから確認できるため、児童の勉強に対する理解度や課題を把握しやすくなるでしょう。
協働学習では、タブレットや電子黒板を使用した活発な意見交換が可能になります。ICT教材に収録されている数々の資料を活用し、論拠をもって話し合えるため、児童たちの想像力やコミュニケーション能力を育むことが可能です。
ICT教育を導入することにより、児童の学習意欲を高められ、主体的な学びを実現できます。協働学習が円滑に進むことや、先生の負担軽減・ペーパーレス化を実現できることもメリットで、導入にあたっては補助金を活用することも可能です。
ブリタニカ・ジャパンでは、動画・写真・イラストを用いたICT教材の提供をしています。250年の歴史が活かされたわかりやすいコンテンツを備え、約16万の百科事典項目をご活用いただくことが可能です。ICT教材の導入をご検討中ならば、ぜひブリタニカにご相談ください。