この日、第1学年の全クラスで行われたのは、総合的な探究の時間「モビリティの調和:Lessen4 自動運転」。Lessen3までの内容をもとに、放送室と各クラスをオンラインでつなぎ、全クラス一斉に授業が開始します。スライドをもとに先生の話を聞いたり、スクリーンに映し出されたQRコードを読み取って2択問題に答えたりと様々な活動を行っていく中で、STEAMライブラリーのコンテンツ動画には、生徒たちもみんな集中して視聴。生徒たちにとってあまり身近ではなかった「自動運転」というテーマも、映像とともに学ぶことで大いに刺激を受けたようです。その後のグループディスカッションでも様々な視点からの意見が出され、教科の枠を越えた活気ある探究学習が、STEAMライブラリーのコンテンツによって実現されていました。
高校では特にハードルの高い文理横断型のSTEAM教育
―探究活動については、すでに取り組んでこられたと伺っています。
波部先生 本校は一昨年までSGHの指定を受け、創造科学科で先に探究活動を進めてきましたので、ノウハウの蓄積はある程度ありました。昨年度より、グローカル教育とSTEAM教育の指定を受け、第2学年普通科全体で探究活動を行っております。具体的な話をしますと、1学期にSDGsの17テーマの中から自分で興味のあることを見つけてテーマを絞り出し、2学期から班での探究活動を進めています。
―STEAM教育を行ううえで先生方にとっての課題は何だったでしょうか。
波部先生 本校ではSTEAM教育推進の担当部署を設け、それを軸に対応できる体制を敷いてきました。ですので、現在は多くの教員にSTEAM教育の取り組みを理解していただいています。ただ、小中学校と異なり、高校の教員は教科をメインに採用されていますので、STEAM教育のような教科の枠を越えた内容を教えることは通常ありません。その意味で、特に高校の教員にとって実践するのはハードルが高い。文理横断型の授業の難しさは確かにあると思います。
最新の社会課題の中から自分に合ったテーマが発見できる
―STEAMライブラリーのコンテンツを実際に活用されたご感想はいかがでしょうか。
波部先生 課題のテーマを設定するうえで非常に役立っていますね。「社会課題の発見」とひと言で言っても範囲は膨大ですから、そこから一つの課題を切り出すことは、生徒たちには少しハードルが高い。授業時間にも限りがありますから、最新のテーマの中からパッと選ぶことができるのは大変ありがたいです。あとの肉付けについては教員がサポートをしたりできますので。あるいはブリタニカさんとの事前ヒアリングで、我々も大きなヒントを得られています。
―STEAMライブラリーを活用した授業の進行等で、先生方にとっての課題は何かございましたか。
波部先生 事前準備は重要だと思います。余裕をもって授業を組み立てることが大切ですね。生徒たちのディスカッションに重点を置くのであれば、あれもこれもと詰め込みすぎず、情報提供を少し絞っていくことが大事だと分かりました。
―生徒の皆さんの反応はとてもよかったと思いますが。
波部先生 そうですね。これまでも生徒同士でディスカッションや議論する機会はありましたが、教科の内容を超えた、実社会における難しいテーマに取り組むことは少なかったので、非常に刺激的だったようです。一つの事柄について、そのメリット・デメリットや、様々な角度からの捉え方が解説されていて、生徒たちの新たな学びにつながると思いますね。特に動画は生徒たちも非常に集中して見ることができますので、非常にいいコンテンツだと思います。
キャリア教育にも活用できる魅力的なコンテンツ
―STEAMライブラリーの動画や資料について、先生からご覧になって改善点やご要望などはありますか。
波部先生 社会における最新の情報、最先端の内容が揃っているので、探究学習の導入として非常にいい教材です。あえて申し上げれば、評価の観点やワークシート、補助教材などがあれば、どんな教員にとっても使いやすくなるかなと思います。
―昨今、キャリア教育も学校現場で重要になってきていますが、STEAM教育はキャリア教育にどのように生かされていくと思われますか。
波部先生 先にも申し上げたように、教科の枠の中ではなかなか教えることが難しい、最新の情報に高校生のうちから触れられることは、生徒たちにとって非常に意義があります。大学進学を考えても、進路選択のうえで非常に助けになる、そんな魅力的な内容が揃っていると思いますね。
ブリタニカ・ジャパンは、2020年度『経済産業省「未来の教室」STEAMライブラリー事業』事業者に採択されました。
「STEAM×Britannica」はこちら https://www.britannica.co.jp/digital/steam/