新年の干支は「卯(う)」、卯年です。ウサギは、穏やかで温厚であることから「家内安全」を、その飛び跳ねる姿から「飛躍」「向上」を表すと言われています。また株式相場には「卯跳ねる」という格言があり、景気が上向く年だとされています。寅千里を走る、とまではいかなかった人も、気持ちを新たに良い年にしていきたいものですね。
さて、「干支」と「十二支」は同じ意味でつかわれることが多いですが、実際には少し異なります。皆さんご存じでしたでしょうか。本来「干支」は、「十干十二支(じっかんじゅうにし)」を略した言葉です。
【十干十二支(じっかんじゅうにし)】 干支 (えと。幹支〈もとすえ〉の意) ともいう。中国の上古に始る暦法上の用語。十干は,甲,乙,丙,丁,戊,己,庚,辛,壬,癸で,何を基準としたかは明らかでないが,もと一旬 (10日) を表わす。十二支は,子,丑,寅,卯,辰,巳,午,未,申,酉,戌,亥。すでに殷代に,干支の組合せで暦日を表わしていた。前4世紀頃,十干が五行 (木,火,土,金,水) に配当され,前2世紀頃,十二支が鼠,牛,虎,兎,竜,蛇,馬,羊,猿,鶏,犬,猪に配当され,これが伝えられて,日本では甲子を「きのえね」 (木鼠) ,乙丑を「きのとうし」 (木牛) ,丙寅を「ひのえとら」 (火虎) のように呼ぶ。漢代,前2世紀頃,干支の組合せが,年,月の順を表わすのに用いられ,十二支の時刻,方角などを表わすのに用いられるようになった。
※「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」より抜粋。「ブリタニカ・スクールエディション」にも収録されています。
つまり、干支とは、
の組み合わせから成り、その組み合わせは60通りあります。よって、60年で一巡し、「還暦」となります。60歳を迎えた人を還暦としてお祝いしますが、「還」の字には、かえる、ひきかえす、もどる、という意味があります。還暦とは、「暦=干支」が一周して元にもどるという意味なのです。
「十干」はなじみのない方も多いと思いますが、もとは1から10までを数えるための言葉です。「甲」「乙」は覚書や契約書などでよく目にしますね。「十二支」はご存じの通り、その年を12種類の動物で表す総称です。十干や十二支それぞれの意味や、組み合わせて十干十二支となった時の意味などを調べてみると面白いですよ!
和暦(年) | 西暦(年) | 干支 | 訓読み(音読み) | |
1 | 昭和59 | 1984 | 甲子 | きのえね(こうし) |
2 | 昭和60 | 1985 | 乙丑 | きのとうし(いっちゅう) |
3 | 昭和61 | 1986 | 丙寅 | ひのえとら(へいいん) |
4 | 昭和62 | 1987 | 丁卯 | ひのとう(ていぼう) |
5 | 昭和63 | 1988 | 戊辰 | つちのえたつ(ぼしん) |
6 | 平成元 | 1989 | 己巳 | つちのとみ(きし) |
7 | 平成2 | 1990 | 庚午 | かのえうま(こうご) |
8 | 平成3 | 1991 | 辛未 | かのとひつじ(しんび) |
9 | 平成4 | 1992 | 壬申 | みずのえさる(じんしん) |
10 | 平成5 | 1993 | 癸酉 | みずのととり(きゆう) |
11 | 平成6 | 1994 | 甲戌 | きのえいぬ(こうじゅつ) |
12 | 平成7 | 1995 | 乙亥 | きのとい(いつがい) |
13 | 平成8 | 1996 | 丙子 | ひのえね(へいし) |
14 | 平成9 | 1997 | 丁丑 | ひのとうし(ていちゅう) |
15 | 平成10 | 1998 | 戊寅 | つちのえとら(ぼいん) |
16 | 平成11 | 1999 | 己卯 | つちのとう(きぼう) |
17 | 平成12 | 2000 | 庚辰 | かのえたつ(こうしん) |
18 | 平成13 | 2001 | 辛巳 | かのとみ(しんし) |
19 | 平成14 | 2002 | 壬午 | みずのえうま(じんご) |
20 | 平成15 | 2003 | 癸未 | みずのとひつじ(きび) |
21 | 平成16 | 2004 | 甲申 | きのえさる(こうしん) |
22 | 平成17 | 2005 | 乙酉 | きのととり(いつゆう) |
23 | 平成18 | 2006 | 丙戌 | ひのえいぬ(へいじゅつ) |
24 | 平成19 | 2007 | 丁亥 | ひのとい(ていがい) |
25 | 平成20 | 2008 | 戊子 | つちのえね(ぼし) |
26 | 平成21 | 2009 | 己丑 | つちのとうし(きちゅう) |
27 | 平成22 | 2010 | 庚寅 | かのえとら(こういん) |
28 | 平成23 | 2011 | 辛卯 | かのとう(しんぼう) |
29 | 平成24 | 2012 | 壬辰 | みずのえたつ(じんしん) |
30 | 平成25 | 2013 | 癸巳 | みずのとみ(きし) |
31 | 平成26 | 2014 | 甲午 | きのえうま(こうご) |
32 | 平成27 | 2015 | 乙未 | きのとひつじ(いつび) |
33 | 平成28 | 2016 | 丙申 | ひのえさる(へいしん) |
34 | 平成29 | 2017 | 丁酉 | ひのととり(ていゆう) |
35 | 平成30 | 2018 | 戊戌 | つちのえいぬ(ぼじゅつ) |
36 | 平成31令和元 | 2019 | 己亥 | つちのとい(きがい) |
37 | 令和2 | 2020 | 庚子 | かのえね(こうし) |
38 | 令和3 | 2021 | 辛丑 | かのとうし(しんちゅう) |
39 | 令和4 | 2022 | 壬寅 | みずのえとら(じんいん) |
40 | 令和5 | 2023 | 癸卯 | みずのとう(きぼう) |
41 | 令和6 | 2024 | 甲辰 | きのえたつ(こうしん) |
42 | 令和7 | 2025 | 乙巳 | きのとみ(いつし) |
43 | 令和8 | 2026 | 丙午 | ひのえうま(へいご) |
44 | 令和9 | 2027 | 丁未 | ひのとひつじ(ていび) |
45 | 令和10 | 2028 | 戊申 | つちのえさる(ぼしん) |
46 | 令和11 | 2029 | 己酉 | つちのととり(きゆう) |
47 | 令和12 | 2030 | 庚戌 | かのえいぬ(こうじゅつ) |
48 | 令和13 | 2031 | 辛亥 | かのとい(しんがい) |
49 | 令和14 | 2032 | 壬子 | みずのえね(じんし) |
50 | 令和15 | 2033 | 癸丑 | みずのとうし(きちゅう) |
51 | 令和16 | 2034 | 甲寅 | きのえとら(こういん) |
52 | 令和17 | 2035 | 乙卯 | きのとう(いつぼう) |
53 | 令和18 | 2036 | 丙辰 | ひのえたつ(へいしん) |
54 | 令和19 | 2037 | 丁巳 | ひのとみ(ていし) |
55 | 令和20 | 2038 | 戊午 | つちのえうま(ぼご) |
56 | 令和21 | 2039 | 己未 | つちのとひつじ(きび) |
57 | 令和22 | 2040 | 庚申 | かのえさる(こうしん) |
58 | 令和23 | 2041 | 辛酉 | かのととり(しんゆう) |
59 | 令和24 | 2042 | 壬戌 | みずのえいぬ(じんじゅつ) |
60 | 令和25 | 2043 | 癸亥 | みずのとい(きがい) |
十干十二支一覧表
ちなみに一番最初は甲と子の組み合わせで「きのえね」です。高校野球や阪神タイガースの本拠地で有名な甲子園球場はこの「きのえね」の年(大正13年、1924年)につくられました。
「癸」は大地に潤いをもたらす静かで温かな恵みの雨や露を表し、十干の10番目、最後に割り当てられています。つまり癸は、生命や物事の終わりと始まりを意味し、まだ大きなエネルギーとはなっていないものの、次への準備ができている、芽生えが始まりつつある、ということになります。
よって「癸卯」は、「卯」のもつ意味合いとも相まって、厳しい冬が終わり温かな春の兆しを感じることができる年、停滞していた状態から少しずつ新しい動きが出始める年、と捉えることができそうです。
ブリタニカ・スクールエディションには、先にご紹介した十干十二支の他、例えば正月、ひな祭、お盆、十五夜、春の七草、秋の七草、葵祭、年中行事とくらしなど、季節や日本の文化、お祭り、伝統行事にかかわる項目が多数収録されています。
関連用語や事柄を効率よく読むことができ、児童、生徒がそれぞれの目的に合わせて掘り下げることができるため、調べ学習や個に応じた支援に役立ちます。
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