「恵方巻に関するアンケート調査」によると、2011年から2020年の10年間で、節分の日に恵方巻を食べる人と食べない人の割合は毎年ほぼ半分半分で、大きな変化はありません。
鬼を追い払う節分行事が奈良時代に中国から伝わって日本に根づいたのに対し、恵方巻を食べる風習のほうは、意外に歴史が浅いようです。江戸時代末期の大阪で、商売繁盛を願って巻きずしを丸かぶりしたのが最初と言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。明治時代や第2次世界大戦中はこの風習が途絶えていたようですが、その後1977年に、大阪の海苔問屋組合が海苔をたくさん売るために「節分の巻きずしの丸かぶり」の宣伝をおこなったのをきっかけに、関西を中心に節分の風習として定着しました。
現在のように全国的に知られるようになったのは1990年代。コンビニエンスストアで「恵方巻」という名前の巻きずしが売られたことで、その名称とともにこの風習が広まっていきました。
現在ではコンビニだけでなく、スーパーマーケットやデパートでも、節分の時期にはたくさんの恵方巻が棚に並びます。ところが少し前には、節分の日を過ぎると大量の恵方巻が廃棄されることが問題視されて、大きなニュースになりました。そこで2019年には、農林水産省が「恵方巻きのロス削減プロジェクト」を発足させ、小売店では食品ロスを減らすためのさまざまな取り組みがおこなわれました。現在では、恵方巻の廃棄率は大幅に改善しています。
小中学校の授業を支援するデジタル教材「ブリタニカ・スクールエディション」の協働学習コンテンツ(食品ロスを減らすため、恵方巻の風習はやめるべきか?)では、年中行事に対する人々の強い思いや願いがある一方で、恵方巻のような季節商品の食品ロスが問題となっている事実について、考えを深める資料をそろえています。先述したような、恵方巻の歴史についての説明や恵方巻に関するグラフ以外にも、恵方巻の販売方法の工夫についてスーパーの方が解説してくれる動画や、子供のころから恵方巻を食べて家族の健康を願っている人のインタビューなども収録しています。
2022年の恵方は「北北西」だそうです。毎年必ず食べているという人もそうでない人も、今年の節分は「食品ロス」について考えながら、恵方巻を食べてみませんか? 食べるときはくれぐれも無言で、丸ごと一気に食べきりましょう。
※恵方巻を一気に食べるのは、途中で縁を断ち切らないようにするため、と言われています。
上記のリンク先をご覧になるには、ブリタニカ・スクールエディションへのアクセス権が必要です。
ブリタニカ・スクールエディションは、小学校、中学校など教育機関で利用されているオンラインのデジタル教材です。