デジタル教科書は無料配布？有料？導入にかかる費用の目安をご紹介

公立小中学校でデジタル教科書が本格導入される2024年度を目前に控え、準備に追われている教育関係者の方々は多いでしょう。デジタル教科書が無料配布されるのは一部に限られ、基本的には自治体や利用者が費用を負担しなければなりません。今回は、導入にかかる費用の目安を詳しく解説します。

デジタル教科書とは

デジタル教科書とは、従来の紙の教科書をデータ化した教材のことです。動画や音声を再生できることや学習ログを残せることなどがメリットで、文部科学省は2024年度の本格導入を目指しています。デジタル教科書は「指導者用」と「学習者用」に分かれ、いずれも学校側で用意しなければなりません。

デジタル教科書は無料？有料？

デジタル教科書は有料であり、購入にかかる費用は自治体か利用者が負担しなければなりません。また、デジタル教科書は「紙の教科書と同一の内容を記録したもの」と定義されており、デジタル教科書からのリンク先にある動画や音声は副教材として扱われるため、国費負担の対象外です。

2022年度より一部の学年・教科を対象に、無料配布が開始された

自治体や利用者にかかる費用的な負担は重く、デジタル教科書の普及率は決して高くありません。この状況を踏まえ、文部科学省は実証実験の一環として、一部の学年・教科を対象としたデジタル教科書の無料配布を実施しました。

2021年度は各学校が任意の教科を選べましたが、2022年度は外国語（英語）に統一されています。英語は特に朗読音声を利用する機会が多い教科であることから、デジタル教科書の有効性を判断するうえで最適とみなされました。

デジタル教科書の導入にかかる費用の目安

デジタル教科書の導入にかかる費用は、学習者用か指導者用かによってそれぞれ異なります。それぞれの費用について、次項で詳しく見ていきましょう。

学習者用デジタル教科書の相場

学習者用デジタル教科書の価格は、出版社や教科によって異なります。文部科学省の調査によると、学習者用デジタル教科書の価格相場は200～2,000円です。たとえば10教科分のデジタル教科書を1冊ずつ購入した場合は、1人あたり2,000～20,000円が必要になります。

※参考：文部科学省　初等中等教育局教科書課 「デジタル教科書に関する制度・現状について」

指導者用デジタル教科書の相場

指導者用デジタル教科書の費用相場は、1学年・1教科あたり70,000～90,000円です。仮に10教科を6学年分用意する場合、合計で420～540万円を用意しなければなりません。

また、指導者用デジタル教科書は「配信版」と「ダウンロード版（DVD版）」に分かれることに注意しましょう。価格は配信版の方が割安ですが、1～2年の契約期間終了後は使用できなくなります。

デジタル教科書を導入するためには、ICT機器・環境も整備する必要がある

デジタル教科書を導入・使用するためには、デジタル教科書そのものを購入するだけでなく、ICT機器・環境などを整備する必要があります。GIGAスクール構想の成立に向けて、どんなものが必要になるのか、どんな環境を整えれば良いのかを以下の表にまとめましたので、今後の参考にしてみてください。

デジタル教科書は、ソフトウェアの「学習用ソフトウェア」「校務用ソフトウェア」に該当します。ソフトウェアを活用するためのハードウェアやインターネット環境、そしてタブレットやノート型パソコンといった学習者用・指導者用コンピュータなどは、デジタル教科書を活用するために不可欠です。しかし、これらを用意するためにかかる費用は基本的に自治体や利用者が負担しなければなりません。

予算に余裕があれば問題なく用意できるかもしれませんが、資金繰りに困っているところがほとんどです。デジタル教科書の準備だけでなく、周辺機器・環境面の整備の準備も進めていく必要があるといえるでしょう。

まとめ

デジタル教科書の導入にかかる費用は、自治体や利用者が負担することが原則です。学習者用デジタル教科書は2,000～20,000円、指導者用デジタル教科書は1学年・1教科あたり70,000～90,000円ほどかかるため、あらかじめ予算を準備しておくことが重要といえるでしょう。

ブリタニカ・ジャパンでは、デジタル教科書と相性の良いオンライン百科事典をベースとしたデジタル教材を販売しております。こちらは各分野のエキスパートの手によって作られており、広範かつ広い知識の習得に役立ちます。ブリタニカ・ジャパンのデジタル教材に関するご相談も随時受け付けておりますので、ご用命の際はお気軽にお問い合わせください。