1961年、アメリカのケネディ大統領が「1960年代の終わりまでに月着陸を実現させたい」と議会で演説したことで実現に向かって動きだした「アポロ計画(Apollo)」。人間を月に送り、月の研究をするために立てられたアメリカの宇宙計画で、1968年12月にアポロ8号が初の有人月周回飛行に成功。1969年7月20日には、アポロ11号に乗ったアームストロング船長らが人類史上初めて月面へ着陸しました。
アームストロング船長が、人類として初めて月面に一歩を踏み出して放った第一声
これは一人の人間にとって小さな一歩だが、人類にとっては偉大な躍進だ
は有名ですね。アポロ11号は、地震計、太陽風測定装置、レーザー光線反射装置といった観測機器を月面に設置し、月の石約22㎏をもって、1969年7月24日無事に地球に帰還しました。
その後、アポロ12号、14号、15号、16号、17号が月面に着陸し、およそ11年に及んだアポロ計画は終了しました。どの宇宙船も月資料の採取や各種の実験および探検に成功しています。
月や太陽系の成り立ちに迫る
アポロ宇宙船で地球に持ち帰られた300㎏以上の月の石は、地球の石と比較され、その組成の違いに注目することから研究が始まりました。分析結果から、月は、約45億年という地球の歴史の早い時期に火星サイズの天体が地球に衝突し、破片が吹き飛ばされて形成された、ということがわかってきました。
アポロ宇宙船の月への飛行は1972年に終わりました。しかし、その計画が私たちにもたらした知識はまだ更新され続けています。アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、2018年もアポロ計画に関連する約60件のサンプルの調査依頼を受け、約525件のサンプルが分析されたそうです。また、アポロ計画のデータを使用して2015年までに2,500をこえる科学論文が発表されました。
50年経っても分析が続き、成果が発表され続けているとは、アームストロング船長の言ったとおり、人類の月面着陸がどれほど偉大な一歩だったかがわかります。
アポロ計画年表(有人のみ)
計画 | 乗組員 | 年月日 | 内容 |
アポロ7号 | W.M.シラー、D.F.エーゼル、R.W.カニンガム | 1968.10.11~1968.10.22 | 衛星軌道に入り、地球を周回。 |
アポロ8号 | F.ボーマン、J.ラベル、W.アンダース | 1968.12.21~1968.12.27 | 初めて有人で月の周回軌道に入る。 |
アポロ9号 | J.A.マクディビット、D.R.スコット、R.L.シュウェイカート | 1969.3.3~1969.3.13 | 初めて母船から月着陸船に乗り込み、単独飛行を行なう。 |
アポロ10号 | T.P.スタッフォード、J.W.ヤング、E.A.サーナン | 1969.5.18~1969.5.26 | 月着陸船が減速降下し、月に接近。着陸はせず。 |
アポロ11号 | N.A.アームストロング、M.コリンズ、E.E.オルドリン | 1969.7.16~1969.7.24 | 史上初めて人の月着陸に成功。 |
アポロ12号 | C.コンラッド、R.F.ゴードン、A.L.ビーン | 1969.11.14~1969.11.24 | 月着陸に成功。サーベイヤ3号からデータを回収。 |
アポロ13号 | J.ラベル、J.L.スワイガート、 F.W.ヘイズ | 1970.4.11~1970.4.17 | 機械船の酸素タンク爆発事故のため月着陸を断念。 |
アポロ14号 | A.B.シェパード、S.A.ローザ、E.D.ミッチェル | 1971.1.31~1971.2.9 | 月着陸に成功。初めて二輪の月面運搬車を使用。 |
アポロ15号 | D.R.スコット、A.M.ウォーデン、J.B.アーウィン | 1971.7.26~1971.8.7 | 月着陸に成功。初めて月面車を使用し、月面を走行した。 |
アポロ16号 | J.W.ヤング、T.K.マッティングリー、C.M.デューク | 1972.4.16~1972.4.27 | 月着陸に成功。初めて月の高地に着陸。 |
アポロ17号 | E.A.サーナン、R.エバンズ、H.H.シュミット | 1972.12.7~1972.12.19 | 月着陸に成功。人が降り立つ最後の探査となった。 |
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