早いもので2023年も3月後半に入り、新年度を迎えようとしています。終業式や卒業式、あるいは転職して心機一転、新しい環境でチャレンジを始める人もいるでしょう。学校の先生方にとっては、次の赴任先が決まり、その準備に勤しむころでしょうか。3月は多くの人にとって節目の時期であるといえます。さて今回のブログでは、100年という大きな区切りを迎えた人や会社、ものをご紹介したいと思います。
司馬遼太郎生誕100年
[生] 1923.8.7. 大阪
[没] 1996.2.12. 大阪
小説家。大阪外国語大学蒙古語科卒業。学徒動員で出征し，戦車隊の士官生活を経験した。新日本新聞社を経て産経新聞社に勤務，かたわら寺内大吉らと同人誌『近代説話』を創刊し，『戈壁の匈奴』 (1957) などを発表，『梟の城』 (1959) で直木賞を受けた。
※「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」より抜粋。「ブリタニカ・スクールエディション」にも収録されています。
司馬遼太郎作品は、『坂の上の雲』『竜馬がゆく』『燃えよ剣』など多くが映画化、漫画化されており、原作を読んだことのない若い世代の読者が、映画や漫画、ドラマから関心をもって原作を読むというケースも多いそうです。まさに世代を超えて読み継がれている稀代の歴史小説家です。
2001年11月、東大阪市に開館した「司馬遼太郎記念館」もおすすめです。司馬遼太郎の自宅と安藤忠雄設計の建物で構成され、実際に使った万年筆や色鉛筆が置かれた机のある書斎や雑木林風の庭など、司馬遼太郎の精神を感じられる空間となっています[1]。
エスビー食品創業100年
唐辛子やカレーパウダーなどのスパイスでおなじみのエスビー食品が今年で100年目を迎えます。創業者の山崎峯次郎が日本で初めての国産カレー粉の製造に成功し、1923年に前身となる「日賀志屋」として創業されました[2]。
今年創業100年の企業はほかにも、富士電機株式会社、杏林製薬株式会社、手帳やアルバムで有名なナカバヤシ株式会社など多数あり、2,649社に及びます（東京商工リサーチによる）[3]。尚、江戸初期、元和9年（1623年）創業、岐阜の飛騨高山で酒造りを行っている平瀬酒造店は、なんと今年で400年を迎えます。
長く会社を続けるにはたゆまぬ努力やぶれない姿勢、一方で社会の変化への柔軟な対応など、多くの要素が求められます。周年企業にスポットをあて、その歴史と変革から学ぶことは、一つの探究学習といえるでしょう。
文藝春秋創刊100年
『父帰る』などで知られる作家、菊池寛により創刊された『文藝春秋』が、2023年1月号（2022年12月9日発売）をもって、創刊100周年を迎えました。「オール讀物」「週刊文春」「Sports Graphic Number」の発行、「文藝春秋digital」「文春オンライン」などのWeb配信に加え、オウンドメディアも含めて多角的に展開し、出版不況といわれて久しい中で、突出したコンテンツ力を誇っています。
「私は頼まれて物を云うことに飽いた。自分で、考えていることを、読者や編集者に気兼ねなしに、自由な心持で云って見たい。」これは、『文藝春秋』創刊にあたり菊池寛が記した言葉ですが、そのことを具現化した創刊号は、友人であった芥川龍之介、川端康成らが寄稿し、3,000部がわずか3日で完売したそうです[4]。既成の概念にとらわれず、自由な発想で新しいものを生み出す精神は、出版業のみならず、多くの企業、個人が目指すところではないでしょうか。
さて、今年の春分は3月21日。太陽の動きに合わせて1年を24に分けた昔の季節の分類とされる「二十四節気」の一つで、昼と夜の長さがほぼ同じになり、この日を境に少しずつ昼の方が長くなります。まさに節目の時期、いよいよこれから春本番です。それぞれの節目を迎えた皆さんを応援します。
今回紹介した三つはいずれもブリタニカ・オンライン・ジャパンに収録されています。あらゆるジャンルの項目が多数収録されていますので、たとえばこのように「節目を迎えた人・もの・こと」という観点で検索し、そこで感じた新たな疑問をもとにさらに検索して自分の興味・関心を深めていく、といった使い方もできます。
学習者自ら条件を設定し、範囲を限定することで、自身の課題意識や調べたいこと、方向性が明確になります。その上で一つひとつの事柄を掘り下げることで、それはすなわち個に応じた学びとなり、探究的に学びを深めていくことができるでしょう。
参考Webサイト
[1]司馬遼太郎記念館
[2]100年の歩み｜100周年記念サイト｜エスビー食品株式会社
[3]2023年の“全国の周年企業” 100周年は2649社 – 東京商工リサーチ
[4]株式会社 文藝春秋
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